
人手不足は企業経営に深刻な影響を及ぼします。
例えば、顧客満足度の低下や従業員の負担増などです。
このような事態が発生すると顧客離れだけでなく、離職率が高くなるため、人材不足がさらに加速する原因となります。
人材を確保するため、企業は求人サイトなどを利用し応募を募りますが、その際に必要になるのが求人票です。
特に、はじめて人材を募集する人の中には書き方がわからないという方も少なくないでしょう。
当然、闇雲に作成したとしてもイメージするような効果を得ることは難しいです。
この記事では、求人票を書くときのポイントやコツ、NG表現を例文付きで解説しますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
目次
求人票の定義とは?基本からチェックしよう!
求人票とは、企業が人材を募集するために必要な募集要件や労働条件を記載した書類のことです。
主な目的は従業員の雇用などが挙げられます。
新規オープンのため、人材を追加する必要があったり、離職に伴い補充をしなければならなかったりするときに作成して募集をかけます。
求人票の提出先は、ハローワークや人材紹介会社、教育機関など多岐にわたり、さまざまなところからの問い合わせを期待することが可能です。
求人票は、どのように記載してもいいというわけではありません。
厚生労働省によれば、職業安定法や省令、指針に沿った条件の明示が義務付けられています。
もし、虚偽の報告や虚偽の条件を明記した場合、罰金刑を科されることもあるので十分に注意する必要があるでしょう。
また、法令に遵守していないと『スタンバイ』などの無料求人サイトに掲載されません。
効率的に人材確保ができなくなるので、正しい書き方を学ぶことは非常に重要です。
もし、効率的に求人を募集したいなら下記サービスがおすすめです!
求人票で書くべき項目とは?正しい書き方を学ぶ
求人票で記載すべき項目は、職業安定法や省令・指針で明記されています。
そのため、定められているすべての項目を記載しなければなりません。
また、2018年1月1日の職業安定法改正により、『試用期間』『募集者の名称』『派遣労働者として雇用するかどうか』の明記が必要です。
これらの内容を踏まえて記載すべき項目は下記の9点になります。
- 業務内容
- 契約期間
- 試用期間(※法改正により追加)
- 就業場所
- 就業時間及び休憩時間、休日や時間外労働の有無
- 賃金
- 加入保険
- 募集者の氏名もしくは名称(※法改正により追加)
- 派遣労働者として雇用する場合(※法改正により追加)
ちなみに、裁量労働制を採用している企業は、就業時間の項目で働いたとみなされる時間を記載しなければなりません。
また、固定残業代を採用する企業は、手当を除く基本給に加えて時間外手当の支給額、一定時間を超える時間外労働分の割増賃金の追加支給に関する明記が必要です。
実際に、どのように記載すればいいのかは、下記の求人票記載例をご確認ください。
明記必須の項目 | 記載例 |
業務内容 | システム開発 |
契約期間 | 期間の定めなし |
試用期間 | 試用期間(3ヶ月) |
就業場所 | 本社(東京都千代田区○-○-○) 支社(大阪府大阪市梅田○-○-○) |
就業時間 休憩時間 休日 時間外労働 裁量労働制を採用している場合の明記必須項目 | 10:00〜19:00 12:00〜13:00 土日・祝日 あり(月平均15時間) 企画業務型裁量労働制により、○時間働いたものみなされます。 |
賃金
固定残業代を採用する場合 | 月給20万円(ただし、試用期間中は月給19万円)
基本給 20万円 固定残業手当(時間外労働に関係なく、20時間分の時間外手当として○円を支給) |
加入保険 | 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険 |
募集者の名称 | 株式会社○○ |
派遣労働者として雇用する場合に必要な項目 | 雇用形態:派遣労働者 |
【例文付き】このコツだけは押さえておきたい!求人票を作るための3つのポイント
魅力的な仕事であると感じてもらうために最低限押さえておきたい求人票作成のポイントを例文付きで3つご紹介します。
ポイントを把握してから作成をしたいという方は、ぜひ参考にしてください。
自社の強みをアピールして魅力を感じてもらう
1つ目のポイントは自社の強みをしっかりと伝えることです。
現在、日本の求人倍率は1以上の都道府県が多く、一般的に売り手市場といわれています。
特に、介護など業界によっては深刻な人材不足に陥っているところも多く、求職者は複数の企業から好きなところを選択できる状態です。
そのため、企業は自社の魅力や強みをアピールし、求職者に選んでもらう努力が必要になります。
そうすることで他社よりも効率的に人材を確保し、人手不足という課題を解決できるのです。
強みや魅力はそれぞれの企業で異なりますが、一般的に下記のような内容が強みとして挙げられるでしょう。
- ボーナス支給額が業界でトップクラス
- 資格取得推進や教育制度が充実している
- テレワークの推進により在宅ワークで働くことができる
- 産休や育休の取得が可能
明確な魅力が見つからない企業は、求人票作成に伴い新しい制度を新設することもひとつの手です。
実際にこれらの強みを求人票でアピールする場合の文章例について明記します。
『充実した教育制度をアピールする例文』
①情報処理技術者資格の取得を推進しています。キャリアアップしながらITエンジニアとして働きたい人は、ぜひ当社に就職しませんか?
②資格取得支援により当社は資格取得に必要な費用を半分負担しています。スキルアップ支援が充実している自社で技術を身に付けてみませんか?
『働き方改革の推進をアピールする例文』
①自社ではテレワークを推進しており、週の半数を在宅で働ける環境を提供しています。カフェや家など働く場所を選ばない自社で新しい働き方をしてみませんか?
②子育てに力を入れられる自社で一緒に働いてみませんか?産休や育休を取りやすい環境を提供し、子育て世帯の支援を手厚くしています。
自社が求める人物像を明確にする
2つ目のポイントは、自社が求める人物像をわかりやすく表現することです。
仕事内容や求めるスキルを明確にすることで、求職者側も自分の能力と照らし合わせて応募するかどうかを決められます。
また、企業側においても求める人材から確実に問い合わせを受けることができるので非常に便利です。
求める人物像からの募集を得るためには、下記のような点を求人票に記載するのが好ましいでしょう。
- 求める資格や経験、能力
- 求める性格
- 採用後の仕事内容
それでは、実際に例文でどのように記載すればいいのかチェックしていきましょう。
例文:システムエンジニアの場合
【職種】
システムエンジニア
【仕事内容】
ゲームの企画開発、運営、アニメーション制作、投資支援
【必要な経験】
iOSやAndroidスマホ開発、Unityを使用した開発、Blenderを使ったモデリング制作
【求める人物像】
ベンチャー企業でゲーム開発経験3年以上のエンジニアを求めています。また、モデリング制作など3D制作に関する知識があれば尚可。トラブル対応やユーザーからの問い合わせ対応もできる方が好ましいです。
例文:Webデザイナーの場合
【職種】
Webデザイナー
【仕事内容】
デザインルールの作成やサイトディレクション、構成作成、デザイナーの指導
【必要な経験】
・Webデザイン歴3年以上
・サイト制作ディレクション経験
・Photoshopなどのデザインツールの使用経験
【求める人物像】
さまざまなデザインツールを使いこなし、指導経験もある優秀なWebデザイナーを求めています。
わかりやすい文章で書くことが基本
3つ目のポイントは、誰でも理解できる文章を使用することです。
自社の魅力や仕事内容を明確に伝えるためには、わかりやすい文章で書くことが大前提になります。
例えば、社内用語が多数使用されている文章は、自社の従業員だけが理解できる言葉なので外部の人間には伝わらない可能性もあるでしょう。
また、専門用語が多用されている文章も好ましくありません。
求人票を書くときは、基本的に誰でもわかるようなわかりやすい言葉を積極的に採用するのがポイントです。
システムエンジニアの仕事内容を記載する例
自社で開発するゲームアプリ、『○○』の運用・保守をしていただくお仕事です。
顧客からのお問い合わせから改善すべき点などを洗い出し、社内で会議をした上で改修に着手します。
また、コラボ企画などに携わり、キャラクターの作成や機能の実装などもしていただきます。
営業の仕事内容の場合
商談を取り付けた顧客のもとまで足を運び、商品の説明などをしていただきます。
新規開拓を目的に行いますが、インサイドセールスから提供された顧客情報をもとに営業活動をするため、飛び込み営業をする必要はありません。
商談化はインサイドセールスが役割を担うため、主な業務は商談化決定後の契約獲得です。
求人票に記載してはいけないNG表現4選!
求人票を正しく書くためには、NG表現についてもしっかりと把握しておく必要があります。
NG表現を使用してしまうと法令違反になる可能性もあるため、十分に注意すべきです。
ここでは、具体的に求人票に記載してはいけないNG表現を4つご紹介しますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
年齢差別表現は労働施策総合推進法に違反する
1つ目は年齢差別表現です。
労働施策総合推進法では、労働者を募集する際に年齢制限に関する内容を記載することを禁じています。
昔は、20代歓迎というような文言が求人広告でも非常に多く使われていました。
しかし、平成19年10月1日に旧:雇用対策法が改正されて、年齢差別表現を使用することはできません。
例えば、下記のような表現はすべて労働施策総合推進法に違反します。
- 35歳まで
- 20代歓迎
- 50歳以上は適性検査あり
年齢は不問にし、特定の年齢層のみを獲得するような表現は使用できません。
また、適性検査を実施する際は、年齢に関係なく全員に義務を課すのが正しい表記です。
差別的表現は男女雇用機会均等法に違反する
2つ目のNGワードは、差別的表現です。
求人票を書く際、意図的ではなくても差別的表現として扱われることがあります。
例えば、下記のようなワードはNG表現となるため、正しい表記に変更しなければなりません。
NG表現 | 正しい表記 |
主婦歓迎 | 主婦(夫)歓迎 |
男性は経験者、女性は未経験OK | 経験者歓迎。未経験可 |
女性のみ面接あり | 説明会・面接 |
女性秘書募集 | 秘書募集 |
【募集人数】 男性:10名 女性:5名 | 【募集人数】 15名 |
意図的ではなくても使用してしまう差別表現は多いため、使わないように意識して記載するようにしましょう。
特定の人を差別・優遇する表現
特定の人を差別したり、優遇したりする表現はNGワードに含まれます。
例えば、居住地を特定したり、外国人を外人と表現したりすることは差別表現です。
また、新型コロナウイルス感染症拡大により、ワクチン接種を推奨する団体や個人は多くなっています。
しかし、求人票に“ワクチン接種必須”と記載すると不利益措置とみなされ違法です。
そのため、ワクチン接種推奨という表現に留めるようにします。
虚偽記載
当然ですが虚偽記載はNG表現です。
たくさんの求職者から応募を募りたいという気持ちはわかりますが、虚偽の好条件を明記するのは違法になります。
虚偽記載は法律で罰される恐れがあるので、十分に注意するようにしてください。
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求人票の書き方のポイントやNG表現について解説しましたが、求人票の作成に自信がない人や掲載方法がわからないという人もいるのではないでしょうか。
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また、掲載サポートも受けるため、求人サイトの掲載も業者に任せることができます。
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まとめ
今回は、求人票を効果的に書くためのポイントやNG表現について解説しました。
求人票は求める人物像を明確にしてわかりやすく表現することが非常に重要です。
また、年齢や性別に関する差別表現はNGワードになるため、求人票を作成する際は十分に注意するようにしましょう。
求人票の作成に自信がないという方は、FREEJOBのような求人広告代理店を利用するのがおすすめです。
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