建設現場で想定される事故・リスクと必要な安全対策とは

 

日本で起こる労働災害による死亡事故のうち、3分の1程度は建設現場で起こったもの。このように、建設現場では頻繁に死亡事故が起こっています。

しかし、建設現場で起こる事故はヒューマンエラーによるものも少なくありません。ヒューマンエラーによる事故は、事前に対策をすれば防げるものも多いのです。

作業員の命を守るためにも、建設現場における安全対策は重要。そこでここでは、建設現場で想定される事故の内容や原因、安全対策に加えて、万が一事故が起こってしまったときの対処についても解説します。

建設現場で想定される事故・リスクとは?

まず、建設現場にはどんなリスクがあるのでしょうか。

ここでは、死者が出るリスクのある事故の種類を紹介していきます。今回ご紹介するリスクは、以下の6つです。

  1. 墜落・転落
  2. 崩壊・倒壊
  3. 交通事故
  4. 激突
  5. 飛来・落下
  6. 挟まれる・巻き込まれる

リスク①:墜落・転落

建設現場で最も多いのが、墜落・転落事故です。毎年建設現場では200件以上の死亡事故が起こっていますが、そのうち墜落・転落事故が3分の1程度を占めています。

原因は、安全帯を正しく使っていなかったなど安全対策が甘かったケースが多いです。

リスク②:崩壊・倒壊

建設中の建造物そのものが崩壊する、老朽化した建造物が耐えられずに作業中に倒壊するといった事故も起こっています。特にコストの関係で老朽化した建造物は、ギリギリまで改修できないことも多いです。

加えて、足場の組み方が甘くて作業中に崩壊してしまうこともあります。

リスク③:交通事故

建設現場では近くを通る人が安全に通れるように交通整備を行います。現場が交通量が多い場所だと、人を捌ききれずに作業員が事故に巻き込まれてしまうことがあります。

また、誘導が正しく行われずにトレーラーなどの乗り物の運転手の確認不足で作業員が轢かれてしまうこともあります。

リスク④:激突

クレーンで動かした資材にぶつかってしまうなど激突事故が起こることもあります。

建設現場では大きな資材を移動させることが多いです。そのため、軽くぶつかっただけでも大怪我や死亡事故に繋がってしまいます。

リスク⑤:飛来・落下

風に煽られて高いところにあった物が落ちてくる事故も想定されます。

飛来・落下事故は年間1,000件以上も発生しており、技能講習などで対策が必要です。

リスク⑥:挟まれる・巻き込まれる

ダンプカーなどの重機に巻き込まれて作業員が亡くなる事故も工事現場ではよく起こっています。

重機に挟まれたり、巻き込まれたりする事故は死亡する可能性が圧倒的に高いですし、死なずに済んだとしても一生物の怪我を追ってしまうケースが多いです。

事故が発生してしまう原因

事故が発生する原因は大半が人によるものです。そのため、事故が発生する原因を知ることで、事故を事前に防げるでしょう。

そこでここでは、事故が発生する原因を紹介します。今回ご紹介する原因は以下の5つです。

  1. 作業員の意識
  2. 作業現場の現場環境
  3. 管理状況
  4. 作業道具
  5. 事故が発生しやすい時期

原因①:作業員の意識

作業員の意識、特に安全対策に対する認識が甘くなっていて事故が起こるケースはかなり多いです。

例えば、安全装置を正しく装着していなかったせいで高い場所から落下してしまったなど。特に、経験を積んで仕事に慣れれば慣れるほど安全確認を怠ってマニュアルを省略してしまいがちです。

建築現場は死亡事故が他の職種よりも多い現場。時間が限られているにしても、安全対策には時間をかけましょう。

原因②:作業現場の現場環境

作業現場の環境が悪く休憩時間に十分に休めないなど、作業員にとって劣悪な環境も事故に繋がります。具体的には、人間関係が悪くて精神面に支障をきたす、休憩室にエアコンがついておらず1日中暑い中で過ごさないといけないなどが挙げられます。

また、建設現場では派遣社員はエアコン付きの部屋に入れないなどの差別もよく起こっています。建設業界は下請け構造ができあがってしまい、下は上に逆らえません。

それ故に、所属している会社が下請けのピラミッドの下にあるほど、作業員が悪い待遇で働かなければいけないという問題もあります。

原因③:管理状況

建設の仕事はクライアントに指定された納期までに建築物を完成させなければいけません。しかし、納期は予算の関係でギリギリに設定されています。

工期の後半になればなるほど、納期に間に合わせるために作業が雑になってしまいがちです。そこで、安全対策に必要な作業を飛ばしてしまうなどして、事故が起こってしまいます。

原因④:作業道具

作業道具や重機は、メンテナンスが大切です。メンテナンスが面倒、時間を確保できないなどしてメンテナンスを怠ると、作業道具や重機の老朽化が通常よりも早まってしまうことがあります。

そこで、安全が保証されていない老朽化した道具・重機を使うことで、事故が起こってしまうのです。安全に作業するためにも、作業はもちろんメンテナンスにもしっかり時間をかけることを忘れてはいけません。

原因⑤:事故が発生しやすい時期

事故が発生しやすい時期は、夏場と冬場です。

夏場の建設現場は暑さとの戦いです。暑さで思考力を奪われてしまうので、見落としやぼーっとすることが増えることで事故が起こりやすくなります。夏場はしっかり水分を摂る、クーラーが効いた涼しい場所で休憩を取るなど暑さへの対策を徹底的に行いましょう。

冬場は、夏場とは反対に寒さが原因で事故が起こりやすくなっています。寒いと通常時と比べて思うように体が動きにくくなるでしょう。そのせいで危ない場所で足を滑らせたり、細かい作業が思うようにできなかったりなどのミスが出やすくなります。

また、雪の降る地域だと地面が滑りやすくなっている、雪で視界が妨げられるなど、作業の条件がいつもよりもさらに悪くなります。そのため、安全対策により力を入れて作業に取り組む必要があるでしょう。

事故が起こる前に…行うべき安全対策とは?

これまで解説してきたように、建設現場での事故の多くはヒューマンエラーが多いです。そのため、安全対策を徹底することで事故を防げます。

ここでは、事前にできる安全対策について解説していきます。今回ご紹介する安全対策は以下の3つです。

  1. 作業員の安全意識を高める
  2. リスクアセスメントを行う
  3. 人員配置・管理に余裕を持つ

対策①:作業員の安全意識を高める

まず大切なのは、作業員の間で安全対策を徹底することです。

大事故に繋がるような大きな失敗をした経験が無いと、「自分は大丈夫」と思ってしまいがちでしょう。しかし、この油断が大事故に繋がってしまいます。

経験が豊富な作業員でも、大事故を経験している人とそうでない人で安全に対する意識に大きな差があります。上が安全対策を徹底している現場では他の人も安全対策をしますし、逆に上の安全管理が杜撰だと他の人の安全管理も杜撰です。

作業員をまとめるような立場の人が安全意識を徹底すれば、若い人にも安全対策がすぐに広まるでしょう。

対策②:リスクアセスメントを行う

リスクアセスメントとは、建設現場で行う作業の中にどれだけ危険が潜んでいるかを作業ごとに評価し、対策を練ることを言います。

評価するのは、日々行う作業の中でどんな怪我・事故が想定されるかだけではありません。災害時にどの作業でどのような怪我・事故が発生するかも対策を練っておくことで、緊急時にもスムーズに対処できる状態を目指します。

対策③:人員配置・管理に余裕を持つ

ヒューマンエラーを防ぐのに何より大切なのは、時間に余裕を持つことです。実現が難しい部分もありますが、人員配置・納期管理に余裕を持つことで作業員も落ち着いて安全に仕事に取り組めます。

建築業界はクライアントとの力関係がはっきりしており、クライアントの言いなりになってしまいがちという問題を抱えています。無理なものは無理とはっきり伝えることで、作業員の安全を守りましょう。

事故が発生した時の対応方法とは?

それでは、事故が起こってしまった場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。対処の手順を紹介します。

手順①:人命救助

事故が発生してしまったら、まずはすぐに救急車を呼びましょう。この際、その人がどんな状況で事故に遭ったのか、どんな怪我をしているのか状況についてできるだけ詳しく伝えて下さい。

また、搬送先が分かり次第、家族への連絡も忘れずに行いましょう。

手順②:被害拡大・二次被害発生を防止する

落下など事故の種類によっては、そのまま放置すると他の人も巻き込まれてしまう可能性があります。よって、事故に遭った人の救助が済んだらすぐに危険区域を立ち入り禁止にするなど、安全を確保して下さい。

また、重大な事故の場合このタイミングで警察署にも連絡を入れて下さい。

手順③:事故現場の保全

重大な事故の場合、警察や労働基準監督署による捜査が行われます。捜査を正しく行うためには、事故現場の保全が必要です。

関係者もなるべく事故現場には手を触れずに、できるだけ事故当時そのままの状態を維持しましょう。

手順④:操作協力・必要書類の準備

警察や労働基準監督署による捜査では、事故当時のことや管理体制に関する事情聴取も行われます。

ヒューマンエラーが原因だったとしても、正直に事情聴取に対応してください。

災害時に必要な書類とは?

労働災害が起こった際には、事故報告書の提出が義務付けられています。事故報告書には、現場の図面や写真に加えて、再発防止策などを記載して下さい。

事故報告書は、現場がある地域を管轄する役所のページで様式をダウンロードできます。

建設現場で想定される事故以外のリスク

建設現場では、事故以外にも様々なトラブルが起こります。トラブルが続くとクライアントとの信頼関係にも影響が出るので、様々なトラブルを想定・対策する必要があるでしょう。

それでは、事故以外に想定されるトラブルについて解説します。今回ご紹介するリスク・トラブルは以下の4つです。
窃盗・盗難
情報流出
自然災害
ハラスメント

リスク①:窃盗・盗難

建設現場では、資材や道具の盗難が起こりやすいです。建設現場は、1日の作業が終わると現場に誰もいなくなります。監視カメラを設置しているケースも少なく、夜中などに資材などお金になるものが狙われてしまいます。

また、建設現場は作業員による窃盗も起こりやすいです。こちらは、同じ作業員のお金など持ち物が対象になります。建設現場の求人は日雇いも多いです。そのため、作業員の中にはお金に困ってる人が多く、作業員同士での窃盗・盗難トラブルにも注意しなければいけません。

リスク②:情報流出

建設現場の図面やスケジュールなどが流出することもあります。建築物に使われている技術は、その企業独自のものも少なくありません。

現代では、SNSが普及しているのですぐに情報が拡散されてしまいます。そこで企業の情報が広まってしまうと、大きな損害になるでしょう。

それに、クライアントからの信頼にもヒビが入ってしまいます。情報セキュリティに関するルールを決め、ルールの遵守を徹底しましょう。

リスク③:自然災害

自然災害はどうしても避けられません。特に日本は地震大国なので、地震や地震による津波などを事前に想定しておく必要があるでしょう。そのため、現場が地域の避難場所は把握してください。

万が一災害が起こったときの対処は、作業員全員の安全の確保を最優先にしましょう。また、余震などで看板など高い場所にあるものが落ちたり、建築物が倒壊したりするリスクもあります。そのため、現場に一般の人が近づかないように防護柵を立てておきましょう。

リスク④:ハラスメント

建築には色々な企業の人が関わり、下請け構造もできあがっているので、ハラスメントが起こりやすい傾向にあります。ハラスメントの内容は、暴言・暴力などのパワハラや女性作業員へのセクハラなどです。

建築業界は他の業種と比べてハラスメントが起こりやすい業界です。業界そのものが閉鎖的な上、男社会で上下関係が厳しい面を持ち併せています。また、現場ごとに人も入れ替わるため、ハラスメントを指摘したところで改善しにくいという問題点もあります。

ハラスメント問題を解決するには、建築業界全体でハラスメントに関する相談をしやすい環境を早急に整える必要があるでしょう。

万が一ハラスメントに遭った場合は、相談できる上司に伝えてください。しかし、社会全体がハラスメントに敏感になっているとはいえ、建築業界は関わっている業者の力関係がはっきりしているので状況が改善されないことも多いです。

その場合は現場を変えるしかないでしょう。

作業現場の安全対策には「Worker Connect」

最後に、作業現場での安全対策としておすすめの安全対策をご紹介します。それが、作業現場をIoT化して管理できる「Worker Connect」です。

Worker Connectは、ウェアラブル端末にはセンサーが内蔵されており、身体情報を取得するとともにそのデータをサーバーに送受信することで、IoTサービスを実現しています。

実際に導入することで作業員が熱中症を発症したり、転倒したりしたとき、いち早く管理者に知らせてくれるため、作業員の適切な健康管理を行うことができます。

リアルタイム検知ができるため、事故などのリスクを大幅に減らすことが可能です。

その他、以下のような特徴があります。

  1. 健康状態・転倒事故をリアルタイムで把握
  2. 負担の少ないランニングコスト
  3. 複数のデバイスを一括管理

さらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

まとめ

建設現場は、事故が他の職種と比べて多い職種です。ただし、事故の中には慣れが原因で本来なら防げたものも少なくありません。

そのため、安全対策としてまずは作業員全体で安全マニュアルを周知し、徹底することが大切でしょう。普段から大げさすぎると思う程度に安全対策を徹底し、事故のない現場を目指しましょう。

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